夢の続きの話をしよう《3》

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――夢を見ていると、夢の中なのになぜか分かっていた。 けれど、夢を操作できているわけではない。あくまで俺は、夢の中で巻き起こる事象を頭上から傍観しているような、そんな感覚。 自分ではどうにもならない、変わるわけがない過去を見つめるのは、あまり好きではないけれど。 夢は、現実を整理するために過去の事象を並べ替え得ているものだと聞いたことがある。 だとしたら今、俺が見ているこれは何を整理したくて行われているのだろうか。 いくら考えてみたところで、意識が浮上しない限り夢は醒めないしコントロールも利かない。ただ忠実に記憶を映し出していく。 高校生の俺と、折原がいる。 覚えている。これは実際に体験した過去で、記憶だ。俺が高二で折原が高一。夏の大会が終わった頃の映像だった。
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