夢の続きの話をしよう《3》

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結局、試合は日本が1-0で勝ちきった。 ざわめきをひしめかせながら観衆が一斉に帰途に就く。その人波に押されながら駅を目指している最中で、「ねぇ」と栞が袖を引いた。 「せっかく勝ったんだからさぁ、電話くらいしてあげれば?」 すぐ前を行く万智ちゃんと庄司の試合内容の語り口が飛び飛びで耳に届く。視界の端で、栞が身に纏っている青いユニフォームの裾が揺れる。 暗闇で見える由もないが、そこには折原が記したサインがあるのだなと思うと変な感じだった。 「そうだな」 「へ? 本気で?」 「本気でって。栞がしろって言ったんだろ」 「まぁ、そうなんだけど。佐野がそんな素直に頷くとは思わなかったって言うか、なんて言うか」 逡巡した後、栞がこてんと首を傾げた。 「どういう心境の変化って、聞いてもいい、のかな?」 「たいしたことじゃないけど」 食い下がる栞に、小さく苦笑する。 そう、本当にたいしたことじゃないのだ。
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