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【第2部】
先輩、と。
まるで大切なものを呼ぶかのように、初めてはにかみながらあいつが俺を呼んだ日を、今でも鮮明に俺は覚えてしまっている。
「――それでは、我が深山の女王様、もとい司令塔様との久々の再会を祝して、乾杯!」
高校生だったころから変わらない、調子の良い武井の音頭に合わせて、「乾杯」とあちこちから声が上がる。
誰が女王様だ、と睨んでみたけれど、それさえも「うわ、おまえ相変わらず冗談通じねぇな。懐かしー!」との、心底嬉しそうな笑顔で返されてしまった。もうそうなると溜息を吐いてみることしかできない。それだってポーズでしかないのだけれど。
俺の勝手で、距離を取っていた。なのに、それを寂しいと思ってくれている相手がいることは、本当にありがたいことなんだろう。
小さめの居酒屋を借り切っての飲み会は、月に一度か二カ月に一度かのペースで行われていたらしい。
メンバーは主に俺たちが中学高校時代に在籍していた深山の、一軍のメンバー。毎回来ている者もあればたまに顔を出すだけのメンバーもいるようだけれど、それでも毎回十人程度が集まっているらしい。
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