夢の続きの話をしよう《4》

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「でも、一番待ってたのは、あいつだよな」 反対側からかかった声に、俺は条件反射みたいにむっと顔をしかめてしまった。それはあれか。 「だよなぁ、そりゃあいつだ、あいつ」 「なんつったって、うちの忠犬ハチ公だからなぁ」 「……相変わらず、あいつはその扱いなの」 間違いなく、俺たちの世代では深山一の出世頭なわけだが。 昔から変わらない安定の折原の扱いに、思わず突っ込んでしまった。そんな俺に元チームメイトたちはいっせいに眼を見合わせた後、爆笑した。 「おまえにだけは言われたくねー! 昔から折原一番蹴っ飛ばしてのおまえだろ」 「下手したら球より蹴ってたんじゃねぇの」 「いや、それはない」 ずばっと否定した直後、酔っ払いの爆笑が加速した。なんだこの異空間。 と言うか、富原がいるからまさかとは思うけど、こいつら一応未成年のあいつに酒飲ませてねぇだろうな。 頭を押さえた俺に、富原が「こいつらも喜んでるんだよ」とじじくさいフォローをいれてきたが、それさえも懐かしい。昔からこいつは達観していると言えば響きは良いが、じじくさかった。
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