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教室の戸を開けると、そこには灼熱の砂漠が広がっていた。
遠くにナツメヤシの茂みも確認でき、ああ、オアシスなんだろうな、あの場所は、などと思いながら、僕は再び戸を閉める。
一端退却。ふう。息を吐く。
さてどうしたものか。今日は砂漠か。
僕はこんな異常事態にも拘らず全く驚かない。それはなぜか。
実はこの事態は今日初めて起こったわけじゃない。
もう1週間近くこんな具合が続いている。つまり、僕たちは1週間近く教室に入ることができていない。こうやっている今も、教室の中では現在進行形で砂漠化が進んでいる。さてどうしたものか。
事の始まりは、沢木ちひろという女生徒が国語の読解問題に難癖をつけたことである。
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