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小粋良いカンの開ける音が響いてから、有栖川先生は口を開く。
「今日から、群青の部室はここだ」
────どうだ、気に入ったか。そう言って髪を纏めていたヘアゴムを取ってストレートに下ろした。
「え。群青さんもこの部なんですか?」
関わりたくないランキング上位の〝転校生〟
同じ部活になってしまえば、嫌でも話したりする機会もあるだろう。
世の中の男子高校生からすれば美人の転校生と同じ部活なんて願っても無いチャンスだ。でも、それは俺からしたら大問題に他ならない。
「そうだぞ、久慈。群青は興味があるらしい
─────都市伝説やオカルトの類いに」
俺は自然と隣の群青に顔を動かす。
相変わらず、暗く暗すぎる瞳。黒い髪に隠れた端正な表情は崩れない。
「……なに?」
「いや、なんでもない」
ちょっとは目を合わせろよ、見向きもしないで怖ェよ。
何処か浮世離れしてそうだが、年頃の女子ならオカルト、都市伝説、おまじない、それ系に興味があるのは自然だ、そんなことで俺の疑問は消えないし。そこじゃない。
有栖川先生は知っているはずだ。俺の体質について。このヒロイン消失の体質について。
……昨日みたいなことにならない為に、調べる材料の多いだろうオカルト研究部なんて、色物の部活に所属してるんだから。
まぁ、成果は少ないんだけれど。
「ところで久慈は何をしている。調べものだろう。七夕のところへ行かないのか」
「それが、いつもいるはずの七夕さんいないらしくて。帰ってくるまで待ってようかと」
そう言っても別段驚いた様子のない先生。
もしかして、知ってるのかな、行き先。
「ならちょうどいいから自己紹介で時間潰しだ。久慈と群青は同じクラスだけど喋ってないだろう?」
「おいッ!!待ってくださいよ先生、それは……」
─────群青さんが死ぬ可能性が。という最後までの言葉はかき消される。言わせてもらえなかった。言うつもりもなかったけれど。
〝大丈夫だ、私の推薦での入部だと考えろ〟
そう言われても、昨日の光景が、隣の群青さんと重なる。それでも、いつもはふざけたような先生は真面目で真剣な眼差しを俺にぶつけてくる。

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