第1章

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私の人生は、「私の人生は」なんて発言するのが恥ずかしいくらい普通の ごく普通の人生だった。 でも、それは あの日まで 私の人生は 大きく変わってしまった。 もしかしたら 変わったというよりも それまでの自分は、そこで終わり 次の人生が始まったのかもしれない。 憶えのない事故に遭遇してから 頭の中に、テレビの副音声のような リアルのメイン音声とは別の音が 聞こえだした。 憶えのないというのは 事故の直前から 記憶が完全に抜けてしまったから 自分では、本当に事故にあったのか? と未だに疑うこともある。 でも、そんな私の戸惑いなど 一切考慮されず その事故後 2日間の意識不明状態から目覚めると、 それまでの私や 普通の人が聞こえなくてよい 聞きたくもない音声が聞こえてきた。 発する本人が伝えたくない 聞かれたくないような言葉 人間の醜い心の声だった。 「好きな人の気持ちも読めていいな」 なんて思う人も いるかもしれないが 実際、全てが聞こえてきてしまうと そんな軽いシロモノではなく 想像以上にエグい世界がそこにはある それまで知っていた 普通の世界とは まったく別の 世界だった。
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