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「有坂龍琉よ」
「えっ」
オレは立ち上がって、ギュイーンと真後ろを見た。
目立っているけど、気にしなぁいっ!
「同室なんでしょ?」
初顔合わせっ!!
「――――――――――遠すぎて顔が見えない…」
「ヒナちゃん、見る?」
今度は瀧さんが“ヒナちゃん”と呼ぶ。
瀧さんがオレに差し出すのはオペラグラス。
え?何故に持ってる?まさかの必需品?でも、しかと受け取り、“有坂龍琉”を見る。
望遠レンズ越し。
「ガタブルっ……有坂さんは、眼がいいの?」
「私?この距離だと何となくねぇ」
「あ、いや。あっち…有坂、先輩?なんかガン付け」
「“せんぱ~い”♪ウマシ」
お?おお?
「“有坂先輩”よりもむしろ“龍琉先輩”がいいよー呼び捨ても美味!」
マジかっ!!2人とも腐女子!?しかも、実兄を生け贄に?
2人を見れば、にっこにこ。
「兄貴は凄く眼がいいよ」
「やっぱ睨まれてる?」
「アレは私がいるからよ…それに…」
オレたちは前を向き、椅子にちゃんと座った。
そろそろ、式が始まるみたいだ。
壇上にお爺ちゃん基、理事長が姿を見せた。
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