4人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
――主のいなくなったおかずを一口頬張った。
味は……
確かにある。
私の脳内には昨晩の缶詰の記憶が横ぎった。
――もしや、あれか。
すぐさまゴミ箱をあさり、包装紙を探り出す。
ぐちゃぐちゃで所々破れた説明書が中から出てきた。
~ ★1商品:味覚消失缶詰 ~
1缶食べると一か月間、味覚を失います。
2缶食べると半年間、味覚を失います。
3缶以降は一年単位で味覚を失っていきます。
………まさか。
これのせいなのか?
そうだとしたら昨晩、彼は4缶は食べている。つまり確実に2年以上は味覚を失うことになったのだ。
こんなことは物理的にありえるのだろうか。
たくさんの疑問はあるが、今、目の前で起こっている現象に対しての説明はつく。
半信半疑だが、私は何も期待していなかったこのカタログに薄々と興味がわいてきたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!