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――1週間後。
私の手元には『アイマスク』と『耳栓』があった。
どちらもあのカタログ商品だ。
あいにく、効果を試したくてもどちらも使う機会がなく持て余している状態だ。
しかしそのタイミングは突如訪れた。
我が家のアパート前の道路が大規模な舗装工事を始めたのだ。
舗装作業は深夜まで行われ、音や振動に加え誘導用のランプがくるくると回り我が家の窓を煌々と照らしていたのだった。
毎夜繰り返されるこの状況は案の定、彼の機嫌を損なわせその矛先は私に向けられていた。
私はここぞとばかりに、気遣うと見せかけこの商品を彼へと渡したのだった。
――翌朝。
私はまだ眠り惚けている彼を見て愕然とした。
アイマスクは耳から外れ枕の下へと落ち、その弾みでだろうか片方の耳栓が外れていたのだ。
やっと機会を得て試せたというのに。
こんな事なら夜中に逐一確認をすべきだったと後悔したのだが、そう思ったのも束の間。
これに関しては不幸中の幸いというべきか。確固たる確信を得ることになったのだった。
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