カタログギフト

まず『アイマスク』だがこれは説明書を読む限り、内部から発せられる特殊な電磁波が視神経に異常を来たし視力を低下させるというものだった。

が、これは彼が床について早々に外れたようで、その日の彼の様子から目が霞む程度の効果しか得られなかった。

しかし『耳栓』に関し、こちらは確実に効果を表していた。

スポンジ製のこの耳栓は芯に凝固性のある液体が含まれており、寝ている間にこの液体が鼓膜まで達し固めてしまうのだという。

つまり鼓膜の振動が出来なくなり聴力を失うというものだった。

憶測ではあるが、アイマスクが外れた際に左耳にかけられていたゴムが耳栓も巻き込んで一緒に外れた。

だが、確実に朝まで耳栓がはめられていた右耳の聴覚は完全に奪われていたというわけだ。

『はは……はっはははっはは………』

結果としてはイマイチだが私は、これによりこの商品の見方を改めた。

そして何とも言えない爽快感が込み上げる。

ーーあのカタログは本物なんだ。

今後どんな効果の商品が来るのか。

死を目前とし、生きがいなどなかった私にこうした楽しみが増えたことはなんとも皮肉なことだ。

私は込み上げる笑いを我慢することもせず高らかに笑たのだった。