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頭が一瞬にして真っ白になる。
しかし、すぐに私を襲ってきたのは何とも言えないドス黒い後悔の念だった。
私は彼をどうしたかった?
殺したかった?
いや…こんなはずでは…
『い、いかないで…私をおいていかないで…』
力の入らなくなった足はずるずると床を滑り私はベットの脇にへたり込んだ。
彼を掴んだ腕だけがベットに残り、やがてその腕も力を無くし私の目の前へと落ちてきた。
だらしなく広げた手のひらを見つめるとなぜか真っ黒になっている。そして異臭がした。
私は取り上げたタバコで自分の手のひらを焦がしていたのだ。
『そうか…』
私は足下に転がった消えたタバコにもう一度火を灯した。
そして勢いよくその煙を吸いこんだ。
床へ身を預けるとまっすぐに天井を見上げた。
私の吐いた煙は、彼がなぞっていた飛行機雲のようにまっすぐと立ち上っていく。
それは、私を天へと導いてくれる道なのだと、
そう思いながら私はそっと瞳を閉じたのだった。
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