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仕事を終えアパートに帰宅すると彼は肌着に股引姿、日本酒のビンを転がしテレビの前で転寝をしていた。
2年前に職を失い、今はすっかりこの様だ。
夕食の支度をしていると玄関のチャイムが鳴った。
『――お届け物です。』
玄関より宅配男性のさわやかな声が響く。
小包を受け取ると送り主には『魔ゴコロサービス』と書いてある。
私がサインをし玄関のドアを閉めると、背後より不穏な空気を感じた。
今から自分に何が起きるのか。
大体の察しはついているため身体が自然と強張り身構える。
そして案の定、私の身体は壁際へと勢いよく突き飛ばされていた。
『てめぇ!!何勝手に物頼んでんだ!そんな金どこにあるんだバカヤロウ!』
酒臭い息を頭上に浴びながら彼を見上げた。
『こ、この前スーパーの懸賞に応募したんです。たぶんそれで何か当たったんだと…』
私の咄嗟の言い訳を聞くよりも先に、彼は突き飛ばされたと同時に飛んでいった小包を拾い上げた。
『懸賞だと!?はっ、先に言えってんだ。』
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