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――翌朝、朝食時にその変化は起こった。
彼は一口サケの切り身を頬張ると首をかしげた。
『おい、これ塩ふったのか?』
『はい…いつも通り多めに振ってありますよ。』
彼は何度も首をかしげサケの塩焼きを睨んでいる。
『味が………ない。』
『私にはいつも通りの塩加減ですが…』
見た目にもサケの表面には塩の粒がびっしり見える。
納得がいかぬまま彼は次に味噌汁に手を伸ばした。
『おい、味噌変えたか?』
『いえ、いつもの味噌です。』
『お前、舌おかしいのか?これもまったく味がないぞ!』
『え…そんなはずは………』
『もういいっ!!!!』
バシンッ!と、木製の食卓テーブルが乾いた音を上げる。
箸がサケに向かって投げつけられた。
彼はそうして勢いよく食卓を立つと、隣の部屋にある私のカバンへと向かい荒々しく財布をつまみあげると数万抜き取り家を後にした。
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