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やはりカーテンのせいだったか。
気が楽になったせいか、急激に眠気が襲ってくる。その勢いに飲まれるまま、俺は窓際のベッドに横たわった。
…ああ。雨の音がする。梅雨時なのは判るけど、また降ってきたのか。朝には晴れてるといいな。
眠りを妨げるような激しい雨音に、そんな不満を覚えた瞬間、眠気がいっぺんに吹っ飛んだ。
飛び起きて窓の外を見る。暗くてよく判らないから窓を開けると、そこには寝る前に見たままの星空が広がっていた。
雨なんか一滴たりと降っていない。でも窓を閉めると、豪雨としか形容できない雨音が響く。おそおそるカーテンを閉めたら、
消えないが、ああ、降ってるんだな、程度の音にまで収まった。
…この部屋で、雨の日に何かあったのだろうか。それとも、前か、その前か、さらに前、ともかくここを借りてた人間の中に、雨の嫌いな奴がいた? あるいは、雨に困らされた奴がいた?
何にしても、歴代住人の誰かが雨に関連した過去を持っているのだろう。そうでなければ大屋か工事関係者だ。…誰であっても、そういう人がいたんだと、のんきに流したりはできないけれど。
ただ、雨の音がするだけ。それも、たとえ豪雨でも、実際に雨が降ったら聞こえる程度の音なので、実害とは呼べないレベルだ。
でも俺、こういうの、めちゃくちゃ気になる性質なんだよな。そもそも、おかしな現象が雨音だけで終わるとも限らないし。
越して来たばかりなんだけどなぁ。
物権的には気に入ってるんだけどなぁ。
引っ越し、検討しよう。もちろん、越すとしても、時期は梅雨が明けてからだけど。
雨音…完
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