家出 #2

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 ふと見上げると青い光の中で麗佳が佇んでいた。  彼女は僕の傍らに歩みより、  僕をその胸に抱いた。  「カツミ、  どうして泣いてるの。  ごめんなさい、  麗佳が悪かったよ。」  僕は彼女の腕の中で力が抜けて行くのを感じながら、ただ躰を預けていた。  掠れゆく意識の片隅にモモの後ろ姿が浮かんでいた。  その後ろ姿が哀しくて、僕はモモに呼びかけていた。 『行かないでモモ、どこにいくのさ。』モモは振り返りもせず暗闇の中に消えていった。  残された僕の僅かな意識も、暗闇に吸い込まれていった。
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