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間もなく取り壊されることになったらしい「渋谷公会堂」の前庭では、思い思いに若者たちが集い、恰もサークル活動の様相で何やら楽しげに時を過ごしていた。
とにかく渋谷って一言で言うけど、この街で麗佳を捜すのは、ワラの山に落ちた針一本を探すみたいなものだよ。
僕は、この後の捜索の見通しを考えて途方にくれていた。
その時、携帯が振るえた。
麗佳からの着信だった。
「やあ、今、僕は君を捜しに渋谷に来てるのだけど、何をどうしたらいのか見当がつかないんだ。」
言ったよね、僕は嘘が苦手なんだ。
麗佳は暫く無言のまま、こちらの様子を窺っているみたいだった。
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