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その夜、明かりもつけずに暗い部屋で頭を抱えていた。
どうやってここまで帰って来たのか記憶がない。
部屋には月の青い光が差し込んでいた。
その時、携帯が鳴った。
麗佳からのメールだ。
久しぶりに聴く着信音だった。
(いるのかな?これから上がって行ってもいい?)
窓を開けた。
麗佳が見上げていた。
僕は右手で招いた。
月明かりの中で、ぼんやりと佇む麗佳はどこか別人の様に見えた。
「これを百香さんから預かっていたんだ。連絡がなくなったら、
一週間後に伝える約束だったけど、明日まで待てない感じがしたの。胸騒ぎってやつかな。」
「ありがと。」
麗佳の携帯の中にモモがいた。
聞き慣れた言葉遣い。
二人の想い出を綴ったメール。
それを読みながら走馬灯の様にモモとの思い出が蘇ってきた。
それはまるで二人の想い出のビデオを観る様に、鮮明に僕の頭の中のスクリーンに映し出されていった。
そして最後のメールには、僕へのメッセージが書かれていた。
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