0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
僕が警備員室に戻ろうと立ち上がると、モモの瞼が微かに動いた気がした。
もう一度モモの傍らに立った僕を、ゆっくりとモモが見上げる。
僕と目を合わせたモモは、力なく笑って、小さく呟く。
「バカ。」
僕はただ頷く。
「カツミのバカ。」
「知らなかったの?」
と、僕は涙を堪えて答える。
「知らなかったよ、こんなにおバカだったなんて。」
「モモ、愛してる。」
「うん。」
「別れない。」
「うん。」
「君を守る。」
「ありがと。」
「必ず、また一緒に走れる。」
「うん。」
「ずっと待ってるから、あのグランドで。」
「わかった、待ってて。必ずいくよ。」
最初のコメントを投稿しよう!