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その日の夜、僕は彼女と最悪な犯罪に手を染める。
「変装は念入りにしておきましょう。似顔絵が公開されてあなたは捕まった。
初めては衝動的だったから素顔のままだったのね」
…衝動的。妙に納得する。
彼女に言われるまで、計画なんて立てたことがないから。
そもそも実行した事実に驚いているくらいだ。「こんな事」を。
「アレは…どうなったんだ?」
「最初はね、うまく消えなかった。しぶとく生きてたわ。意識は戻らないままだったけれど」
「未遂…か。失敗したのか。一番ダサいパターンだな」
「そうね。やるなら迷いは消しなさい。
最後に聞いておくわね。
本当にやるの?やらないの?」
「やるに…決まってるじゃないか。それを知ってるから、あなたは僕に会いに来たんだろ?58回も」
「そういうことだわね」
彼女は笑った。
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