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「なぜこんなことを、10回目からは協力しようだなんて思ったんですか?」
僕は彼女に問いかけた。
「私はあなたに最初に会った…1回目の「はじめまして」のとき、ひどく後悔したの。
捕まったあなたをニュースで見た。直前に私は声をかけられていたから。ただのナンパじゃない、『何かを訴えたいような、助けを求めていた少年』を、あのときなぜ救ってやれなかったのかと…そんなときよ、こんな力が生まれたのは」
「不思議ですね…そんなに哀愁漂ってたんですかね」
僕が笑うと、彼女は真面目に答えた。
「問いただしたら、2回目のはじめましてで全部話してくれたよ。
あなたは両親に育児放棄や虐待をずっと受けていたこと。あなたは泣いていた」
「恥ずかしいなぁ…」
「何度も何度も説得して、そんなことをしないように何か別の、あなたが幸せになる方法を考えようとした。
でもそのうち…私はあなたに協力することであなたと共に罪を背負って生きたいと思うようになった」
「どうしてそこまでしてくれるんですか…?」
「そうね…あなたが愛しくなってしまったからかな。
好きな人を傷つける人間は、やっぱり気に入らないじゃない?力になりたくて」
「………!?」
突然の言葉に僕は驚いた。
慌てて彼女の横顔に目を向けると、今まで冷静に運転中だったはずの彼女が、何故かぎこちなく目を泳がせる。
「あ…の…」
僕の言葉にビクリと反応して彼女は言った。
「…ごめんなさい。今のを打ち明けたのは、これが『はじめて』だわ。」
彼女は顔を真っ赤にした。
つられて僕も真っ赤になった。
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