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眩しい日差しに呻き声を上げながら身じろぎすると、何やら柔らかい感触があった。
日常では絶対に感じ得ない感覚に興味を覚え、手でまさぐってみる。
小さめながらいい感触――いや待て。いやな悪寒がする。
ゆっくりと目を見開いてから何度か瞬きすると、目の前に真紅の瞳が二つ。ゼロ距離で見つめ合ってしまった。
すでにその瞳の持ち主は覚醒していたようで、悪寒はその瞳の奥から発生している殺気によるものらしい。
真紅の瞳の猫耳さんが布団を跳ね除けると、一緒にレーザーブレードが宙を舞った。枕元に用意していたらしい。
横になった状態から瞬間的に立ち上がり、レーザーブレードをキャッチして僕を跨ぐと、ノド元に突きつけながら猫耳さんは第一声を発した。
「――頭を切り落とそうか」
「――できれば、止めて欲しいですね」
産毛がチリチリと焼ける感触がある。下手に動けば命がない。
だが、動かなければ遅刻するようだ。
中が見えそうで見えない、猫耳さんの足の間から見える時計は、八時を指している。
僕の学校は八時二十分で遅刻になるのだが、自転車で三十分の距離にある。
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