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情報歴史図書館閉館日前日の関東図書基地は緊張感に包まれた。ついさっき麻子ちゃんに「あんた笠原の分まで、とか言って無茶しそうだけど。とにかく帰ってきて」と毒を交えて労いの言葉をもらった
隊員らが準備に追われている中、そこに入るはずだった郁ちゃんが立っていた
こころ「郁ちゃん...」
笠原「こころ...頑張ってね」
私はどんな言葉をかければ良いか分からなかったけど、今からの言葉で救われた
こころ「郁ちゃんも何があるか分からないから...気を付けて」
私がそう言うと、郁ちゃんは黙って頷いて手を差し出してきた。こころもその手を握り返した。例え違う場所にいても、心構えは一緒
郁ちゃんと別れトラックに乗り込み出発すると、防衛部を初め業務部や後方支援部の隊員らが敬礼をした。最前列にいる郁ちゃん、どこかで見守っているであろう麻子ちゃんが、そしてその場にいる全隊員が思うことは1つ。ーどうか無事で
情報歴史図書館に到着するまでにはまだ時間があり、各々自由に過ごしている
私は初めての大規模攻防戦で不安と緊張で一杯。手塚も余裕をかましている様に見えるが、少なからず緊張しているのはわかる
小牧「すごい緊張してるでしょ?」
小牧が笑いながらこころと手塚に声をかけた
こころ「...そう見えます?」
こころがおどけながら言うと、堂上もまた声をかけた
堂上「あんまり力むな。地上戦をフォローしてくれればいい」
こころと手塚は屋上の狙撃班で、基本的には地上戦での援護射撃をすること
小牧「いつものでいけば2人とも大丈夫だよ」
こころ「はい、ありがとうございます」
手塚「はい」
教官達のフォローで私も大分落ち着いた気がした。郁ちゃんの一件があり私と手塚くんは堂上教官と何となく微妙な雰囲気になったが、これが終われば自然に微妙な雰囲気も無くなるだろうな
急に眠気が襲ってきた。ここのところ緊張でよく眠れてなかったの。他の隊員達も体力温存のためか大半が寝ている。こころも眠気に負けて、すぐに眠りについた
小牧「よっぽど緊張してたんだね」
堂上「ぐっすり寝てるじゃないか」
かつてこころが小牧の肩に頭を預けて眠っていたことがあった。それを思い出したのか小牧は小さく笑った
小牧「おやすみなさい」
小牧は起こさないよう軽くこころの頭を撫でた
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