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それがどうしてだ?
何がどう間違ってこうなった?
なんだ、この瓦礫の山は?
ふと視線を落とす。
それは昨日まで毎日通っていた校舎の残骸、思い出の残骸、日常の残骸。
それが足元でがしゃりと音を立てて崩れる。
途端バランスを崩して膝をついた。
そこには分厚い紙の束があった。
教科書だ。
持ち上げ、開こうと手を差し込んだ途端、ばらばらと墨になって消えていく。
退屈の象徴が、墨になって消えていく。
――これは、嘘だ。
それでも少年は歩いた。
ただ死にたくない一心で。
足元の日常の残骸の下に埋まっている、仲間の変わり果てた姿を見ないように。
匂いを、吸い込まないように。
ただ同じ場所にいないように歩き続けた。
がら、
と少し離れた所で瓦礫が崩れる音がした。
びく、と体が反射的に痙攣し、その方を向く。
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