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思った途端、強烈な悪寒が背筋を走りぬけた。
思わなければよかった。
焦燥感に頭の中が割れそうに痛む。
思う。
よく、緊急事態に自分だけ気付くのが遅れると、周りに誰もいなくなり、その焦燥感は辛いと想像できる。
だが、自分ひとりだけ助かった場合も同じ焦燥感に苛まれるとは思わなかった。
じとり、と手に冷たい汗が滲む。
喉が渇く。
走った。
がむしゃらに走る。
誰か、誰かいないのか……?!
瓦礫だらけの道は走りづらく、何度も足を取られ転んだ。
尖ったコンクリートで膝や肘、脛を切り裂かれた。
構うものか。
それでも走る。
いやだ。
怖い。
一人は怖い。
死ぬのも怖いが、一人取り残されるのも同等に怖い。
そんな恐怖は理解不能だ。
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