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あの店員も、僕と同じ大学に通っているのだろうか。左右にひょこひょこと動く明るめの茶髪をぼんやりと眺める。
彼は何年生だろう。1年か、2年か。あるいは就活を終えた4年生かもしれない。
僕がこうして燻っている間にも、彼は卒業旅行の資金を得るために、持て余すほどの暇な時間をバイトに費やしているのかもしれない。
今日もまた、1社落ちた。受けたのは出版社だった。合否は1週間以内に伝えると言われたけど、まぁ不合格だろう。
僕に相対する面接官の、あの興味を失した眼差しと、怠そうな表情をした顔を懸命に支える頬杖。
あの面接官にとって、僕はドアを開けて出ていくだけの蛋白質と骨と水の塊に過ぎなかった。
車を運転しているときに側面の窓の外を流れていく風景のような、気に留めないことを当然とするモノ。
何が原因かなんて分かり切っていた。質問に対する僕の受け答えはあまりにもつまらない。面接対策の本やサイトに書かれている記述に音をつけて、ついでにアクセントなんてつけたりして口から発しているだけだった。
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