君の隣に

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二人が初めて出会った時、私は小学二年生で、彼は五年生だった。 小さい頃から体が弱くて、 よく学校を休んでいたし、とても人見知りする子だったから、“その日”は特に憂鬱だった。 転校の初日…“行きたくない”ってぐずっていた私に、“一緒に行こうよ!”って声を掛けてくれたの。 その笑顔があんまり優しくて、 さっき隣の部屋から出てきたばかりの名前も知らない男の子に、“うん”って、つられるように笑って答えたの。 あの時の、びっくりしたママの顔は忘れられないわ。 あの日、ヨウちゃんが差し出した手を握った瞬間に、私の初恋は始まったのかもしれない。 それから、私とヨウちゃんは、毎日一緒に学校へ通った。 放課後も一緒だった。 二人共、母親は夜まで働いていたし、父親は居なかったから。
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