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「あなた、まさかお隣に住んでる桜川さんとこの子? やった! まさかこんな近所に、歳の近いお友達が住んでるなんて!」
わたしは驚いて、言葉が出てこなくなった。
出会って数秒しか経っていないのに、彼女の中ではわたしはもう「お友達」扱いになっているのだ。
別にそれはイヤなことではなく、むしろまったく逆で、とてもうれしいことなのだけれど……。
しかしわたしのこれまでの人生でここまでうれしいことというのがなかったので、どういう反応を返したらいいのかわからなくなってしまったのだった。
「さあ、それじゃあ行きましょうか、エリカ! 早くしないと遅刻しちゃうわ!」
彼女は、自分が案内される側だというのに、率先して歩き出した。わたしの右手をつかんだままだ。必然、わたしも彼女に引きずられるようにして歩き始めた。
それが、わたしーー「桜川エリカ」と彼女ーー「尾上ユミ」との初めての出会いだった。
この後、わたしは何度となく、彼女に人生を救われることになる。
彼女とーーそして、彼女の持つ「予知」の力に。
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