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手を引かれ、俺はリラさんに家の外へと連れ出される。
リラさんの家は高い木の上で、家を囲む足場は一人分ほどのスペースしか作られてなく、そこからすぐに縄梯子で次の木々への道を繋いでいた。
安全柵も手すりも取り付けられていないこの家は、見晴らしが最高だった。
だからこそ足場から見下ろす地上はあまりにも高く、身の竦むような眺めとなっていた。
俺は腰が抜けそうになり、思わず後退りして家の壁に背を張りつけた。
リラさんは腰の引けた俺の手を無理やり引く。
高所の竦みに力抜けていたこともあり、俺はリラさんに引っ張られる形で歩き出した。
なるべく下を見ないようにして。
縄梯子を渡るその手前で、リラさんは地上の様子に気付き、足を止めた。
俺も足を止める。
地上では、ある一ヶ所に人垣が出来ていた。
最前列に長老が一人。
村の入り口から対峙するような形で、黒の重装備に身を包んだ五人の騎士が黒馬に乗ったまま何やら長老と深刻な交渉をしている。
リラさんが急に俺の手を引いて、再び家の中へと引き返した。
「え? 逃げるんじゃなかったのか?」
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