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「リラ、長老死んだ。奴ら、長老殺した。村のみんな、仇討つ」
リラさんが俺の手を強く掴んでくる。
俺はリラさんへと視線を移した。
リラさんは怒っていた。
苛立ち耐えるように奴らを一心に睨みつけ、口をきつく締める。
その気持ちが、俺を掴む強さとなって伝わってきた。
青年エルフがリラさんに言う。
「リラ、長老言ってた。リラ、その客人守る。客人、この村関係ない」
急にリラさんが俺を引っ張って走り出す。
いつ切れるかもわからない縄梯子を、リラさんは俺の手を引いて全力で駆け抜けた。
地上から併走するように、二人の黒騎士が追いかけてくる。
(リラさん……)
判断を求めるように俺はリラさんの顔へと目を向けた。
そのリラさんの頬につたう一筋の涙。
リラさんは俺に言った。
意志の強い言葉で。
「お前、必ず逃がす。奴らの目的──私、壊す!」
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