被害確認

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「すみません、感情的になりました。突然こんなお話をして奥さんが混乱しているのもわかります。ご主人と話す時間も必要でしょう。  では、一日後にまたお電話さしあげます。その時までに決断しておいてください」 そのあと、彼は悩んでいるかのようにしばらく黙り、やがてわざとらしい咳払いをすると、ようやく聞き取れるくらいの小さな声でささやいた。 「もし、どうしても無理だとおっしゃるなら‥‥ご主人に見せられない部分だけをその‥‥‥‥あ、いや、何でもないです。忘れてください」 私はその言葉に飛びついた。 「部分だけを‥‥なんですか? 編集できるんですか? あなたの権限で?」 「僕一人ではできません。他の職員を裏で説得しませんと。証拠に手を加えるのは明らかな不正ですし。  ただ、僕は‥‥人を助けたくてこういう職業をめざしました。そして心ない犯人のために、罪のない被害者の方々が生活を壊されてしまうのを何度も目の当たりにしてきました。  僕らは、犯人を断罪したいとは思っていますが、そのために被害者の方の犠牲をさらに増やすことは、ちょっと違うと思っています。
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