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「なので、本来はご夫婦で話し合ってほしいんです。それでお二人がわだかまりを取り去って、また絆をとりもどしていただければ、この事件もいやなことばかりではなかったように、なるんじゃないかと‥‥あっ、すみません。さしでがましいことを言いまして」
あわてて警察官の口調に戻る。
「わかりました。私もちょっと冷静になって考えてみます。あの、明日はできたら主人の居ない昼間にお電話いただけますか?」
「わかりました。平日の昼間なら問題無いですね」
そう言ってその時の通話は終わった。
そしてそれは私にとって逡巡の始まりだった。
主人以外の男を寝室に入れてしまったのは、まったくの出来心だった。
携帯電話に懐かしい名前からメールが届いた。中学を卒業して二十周年になるから、ホテルの宴会場で大がかりな同窓会をするという話だった。
ほどなくして往復葉書の招待状が届いた。
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