被害確認

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「いえ、あの、まだ実際に窃盗は行われていないと思います。 ‥‥あの、申し上げにくいんですが、実は他の目的で物色をする犯人もいます」 「他の目的、ですか」 「ええ、つまり、そこの住人に興味があって、です」 「あの、ちょっとよくわからないんですが」 「留守宅に侵入して、写真や手紙を勝手に見たり、パソコンの情報を盗み見たり、あるいはタンスの中の下着などを見るのが目的、という場合があるんです」 私はかっと顔に血が上ってくるのを感じた。恥ずかしいのか犯人に対する怒りのためかは判然としなかった。 「それじゃ、ストーカーですか」 「ストーカー、とは厳密には違うかもしれませんね。犯人は別に被害者を執着して交際を申し込むつもりはなく、ただ間接的に監視したいだけなんですよ。  持ち物や衣服を見たり、生活のタイムスケジュールを把握したりして、あれこれ想像するのが楽しいんでしょう。ただ、犯人の男はこれを複数の女性にしていたようで、奥さんもターゲットにされていたようなんですよ」 若い警官はとても気の毒そうに言う。捜査のためにとはいえ、嫌な役割をさせられているのだろう。
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