被害確認

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「それで‥‥奥さんの場合、犯人が物色したあげく、かなり気に入ってしまったようで‥‥盗聴、盗撮まで行ったようなんです」 「は」 今度は、ぞくりと背筋が寒くなった。 「被害のあったお宅全て、というわけではないんですが‥‥その、物色の結果、気に入った女性のお宅に盗撮カメラや盗聴器を仕掛けていたようなんです。  今回、ご連絡さしあげているのは、この盗撮、盗聴の被害に遭われたお宅なんです」 「え‥‥」 頭が混乱した。 「じゃ、この家に今も、カメラや盗聴器があるんですか」 そっちのほうが重大な問題だ。それを先に言ってくれなくては困る、と私は焦った。 「あると思います。でも、今は犯人がこちらに留置されていますから、それを受信して見ている人間はいないわけです」 ふう、と少し安堵の息をはいた。と同時に少し余裕ができて、疑問がうかんだ。  つまりこれは、盗撮という犯罪だということなのか。それにしてはずいぶん遠回しな言い方をされていたような気がする。
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