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「で、でもなんだかこんなの順番がおかしくないですか。わざわざ物色の話をして。確認の電話だなんて。最初に盗撮の話をして、私の家を捜索してカメラとか盗聴器とか証拠をあげればいいことでしょ」
「そう‥‥おっしゃるとおりなんですが。令状をとってご協力いただくと、もちろんご主人のお耳にも入りますよね」
急に電話の向こうの彼は口ごもり始めた。その様子に、私は強気になって問い詰めた。
「何? 何か問題でもあります?」
はあ、と小さくため息をつくのが聞こえた。
「証拠をあげますよね。そうするとですね、被害届けを出すために被害状況を確認してもらわなくてはならなくなるんですね。
今、こちらに犯人のパソコンを押収しておりまして、編集して保存していた盗撮、盗聴の証拠映像があるわけなんですが、その中から奥さんとご主人の映っているところをご本人に見て確認していただかなくてなならないんです。奥さんとご主人の、その、なんていうかプライベートな‥‥」
ぞくりと気持ちの悪い感覚に足が震えた。小さな虫が一斉に足を這いのぼってくるような感覚だった。
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