1、みのりの場合

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   みのりちゃんとは、あの後何回かデートを重ねた。平日に会える日は食事に行って、休日はデートスポットに足を運んだ。動物園や美術館、イルミネーションも行った。それでも俺たちは、手をつなぐことがなかった。単純に俺がチキンなのだ。  「いつ告白しようか―」  確信が欲しかった。こんなに何回も二人で会ってくれるのだから、嫌われてはいないと思うのだが、それだけでは足りなかった。  「なぁ、孝宏は彼女にどうやって告白した?」  「は?」  ある平日の夜、孝宏に呼ばれて俺は珍しく居酒屋にいた。おしゃれでも何でもない、駅前にあるチェーンの居酒屋だ。あまり酒が好きではないから、飲み会以外で行くことはあまりないのだが、孝宏がどうしても会社の愚痴を言いたいから来い、と言うので付き合うことにしたのだ。  「なに史人、好きな奴いるの?」  「…うん。」  「史人もついに童貞卒業かー!?」  「ばっ、ばか、大きい声で言うなよ!」  「いいじゃんか、ホントのことだし。告白の仕方だろ?そうだな…」  孝宏が腕組みをして考えている。俺はグラスを置いて、じっとその返事を待った。  「女はサプライズが好きだぞ。あとシチュエーションも大事だな。今からなら、クリスマスにどっかのでっかいツリーの前でプレゼント渡しつつ告白すればいいんでないの?」  思ったよりまともな返答に、俺は少し拍子抜けしてしまった。  「なにポカンとしてんだよ。俺だってちゃんと答えるさ、親友が悩んでるんだもの」  「孝宏…」  なんだかジーンとしてきた。やはり持つべきものは友達か。  「最高のクリスマスになるか、最低のクリスマスになるかはお前次第ってことだな。頑張れよ!んで結果待ってる。というわけで、会計は史人持ちな!」  「えぇぇぇ!!」  前言撤回。俺の感動を返せ。  
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