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「着いたー!運転お疲れさま!」
無事水族館に到着し、わたしと史人くんは座りっぱなしで固まっていた体を思いっきり伸ばした。開放感が気持ちよかった。
「思ったより寒くないね!ちょっと厚着だったかなぁ」
「大丈夫でしょ。夜はきっと冷えるよ」
「そうだよね。やっぱり上着は持ってこ」
水族館という場所は、薄暗くて大小様々な大きさの水槽に、これまた大小様々な種類の魚が展示してあるだけの場所だと思っていた。正直なところ、地味なイメージだったのだ。
しかしここは違う。プロジェクションマッピングを追加するだけで、こんなに夢があってわくわくする場所になるのだ。魚たちも、心なしか誇らしげに泳いでいるように見えた。
「すごい!すごいね!」
「まさかこんなにすごいとは思わなかったよ」
いい歳をしてキャッキャするのはいかがなものかとも思ったが、テンションを抑えられない。それに興奮しているのはわたしたちだけではなく、周りのカップルだって同様なのだ。たまにははっちゃけてもいいと思う。
「イワシとかイルカとかもショーやるみたいよ。せっかくだから見てこう」
「いいね!やっぱ水族館来たらショー見なきゃだよね!」
すっかりテンションが上がったわたしは、時々訪れる違和感を気にしないようにしていた。それを突き止めてはいけないような気がしたのだ。
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