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「…ほんとにカップルばっかだね」
みのりが小さい声で呟いた。
「ほんとだね。そうだとは思ったんだけど…」
予想はしていたが、カップルしかいない。右を見ても左を見てもカップル。正面も後ろもカップル。有名なデートスポットだから、仕方がないのだが。
俺たちは偶然空いたベンチに座り、今日の話をたくさんした。マンタに映ったプロジェクションマッピングのこと、ペンギンのよちよち歩きのこと、イワシのショーのこと、イルカのショーのこと。楽しかった思い出だけが蘇ってくる。
話がひと段落したところで、俺は意を決してみのりの正面に立った。みのりが俺の顔を見てポカンとしている。
「俺はあなたが好きです。付き合ってください」
みのりはにこりと微笑んだ。
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