1、みのりの場合

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 クリスマスが今年もやってくる。憂鬱だ。そもそもクリスマスというものはイエス・キリストの誕生を祝う日のはずなのに、いつから恋人たちのイベントになってしまったのだろうか。わたしのように恋人がいない人にとっては苦痛でしかないというのに。  この間までハロウィン一色だった街も、11月に入ればすぐにクリスマスにシフトチェンジをしてツリーを点灯させる。昨日まであったカボチャはどこに行った!あんなにたくさんいた魔女やゾンビたちはどうしていなくなった!  時間は残酷である。    『みのり、今年のクリスマスどうするの?』  11月に差し掛かったある日、有紀美がわたしにメッセージを送ってきた。  『別に、何もないよ。有紀美は彼氏とラブラブするんでしょう?』  精一杯の皮肉を込めて送信。  『まあね☆』  …鬱陶しい。  『どうせ裕乃と香澄も同じなんだし、わたしはいつものように一人で酒を飲みながらチキンを食べるんだ。気にしないで楽しんでよ』  有紀美と裕乃と香澄はわたしの高校のときからの同級生。10年経った今でもこうやって連絡を取ったり、食事に行ったりする仲だ。  『何もなければこんなことでメッセージ送ったりしないって。一樹の知り合いでみのりみたいにやさくれた男子がいるみたいなんだけど、どう?連絡してみない?』  「…わお」  一言余計だが、いいとしよう。一樹さまありがとう!今ここにいない、かつ会ったこともない有紀美の彼氏に向かって、盛大に感謝した。  
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