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外で車のエンジンの音がした。俺は急いで外に出る。なんて怒鳴ればあいつを傷つけられるだろうかと思ったが、どうやらその必要はなさそうだ。
「振られたのか」
俺は一樹に向かって言葉を放り投げた。
「バレたよ。あの子、意外と観察力あるのな。何度も史人になりきって遊んできたのに、今回が初めて。史人くんはもっと優しい、だってさ。まったく情けねぇよ」
俺の服を着て運転席に座る一樹は、まるきり俺だった。一体どこで見抜いたのだろうか。
『顔は同じだけど、雰囲気がまったく違うよ。あなたの方が鋭い目をしていて、知的。あなたは史人くんと同じだと思ってるみたいだけど、まったく同じものなんてこの世に存在しないんだよ。工場で作っているものもすべて。まぁ、史人くんが双子なのは初めて知ったからビックリしたけどね』
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