1、みのりの場合

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   参戦した合コン、数知れず。  作ってきたカップル、数知れず。  さらに言うと、砕け散った恋も数知れず。  知り合いの中で魔法使いと呼ばれるほど、カップルを作るのが上手い。…らしい。  双方の性格やタイプを知っていれば、誰でもできることだと思うのだが、キューピットとして動くタイミングが絶妙なんだそうだ。  そんな恋のキューピットは、自分の恋になるとその能力を全く発揮しない。好きになる人は決まってダメな奴ばかり。何故だろう。恋は盲目とはこのことなのか。  25歳。周りが結婚ラッシュに突入する中、わたしは一向に彼氏ができる気配がない。  彼氏いない歴=年齢ではないのだが、久しく恋愛をしていないせいで恋というものを忘れてしまいそうだ。  『ちなみに、史人くんっていうらしいよ。メッセージのID送るから、あとは二人で自由にやってみてよ。合わなかったら無理に付き合う必要ないし。がんばれ~』  『ありがとう!!!一樹くんにも言っといて!!!』  『ありがとう』のスタンプを連打したあと、メッセージに書かれたIDに、早速送信してみた。  『はじめまして!有紀美の友達のみのりです。よろしくね!』  仕事仲間以外で異性にメッセージを送るのなんて、いつぶりだろうか。まだ見ぬ「史人くん」を想像して勝手に胸が高鳴るのは、乙女心という自然現象だから許して欲しい。わたしだって乙女の一人。要するに、恋がしたいのだ。  
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