1人が本棚に入れています
本棚に追加
はじめてメッセージを送った日から、一週間が経った。メッセージは順調に続き、お互いの情報を交えながらやりとりをしている。
分かったことは、酒より珈琲が好きで、飲み会に参加はするがあまり会話はしないということ。居酒屋よりもカフェの方が好きらしい。わたしの主観だが、あまり明るい性格ではなさそうだ。追加情報としては、趣味はインドアなものが多く、中でも映画鑑賞が一番好きらしい。
少しずつ具現化されていく「史人くん」という存在。わたしも情報を公開しているが、どういう風に捉えているのだろうか。少しでも興味を持ってもらえているのだろうか。
『ねぇ、会ってみない?』
その一言がなかなか言えない。何度も打っては消してを繰り返した。会ってみたい。だって、こんなに話が合う人は久しぶりだから。この際、恋人になれなくてもいい。友達でも全然構わない。そう思うのに。
やはり、嫌われたくないのだ。恋人になれなくていいなんて、友達でいいなんて、振られたときの予防線だ。ほらやっぱりね、わたしに恋愛は向いていない。そう言う準備を今からしている。
『会いたい』が言えないという事実が、会ったことがない相手に対して好意を寄せたことを認めるには十分すぎる証拠だったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!