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「突っ切るわよ」
ペイジーはマープの手を引き、お禿げの群れの中に全速力で駆け出していった。
「どうするんですDr…」
「私達だけで外に出るわよ」
ペイジーは遂に外に非難する事を決意したようだ。
お禿げの群れに体を滑らせると、白衣の中に手を突っ込み、鬘を取り出した。
「あんた達、これで我慢なさい」
手近なお禿げに鬘を被せると、残りのお禿げ達はまるで人に集るズンビのように鬘を弄り回す。引っ張ったり、毟ったり、捻ったり……。
「おおおおお…髪だ。髪だ。髪だあああ」
「俺の髪」
「私の髪」
髪は光也と言う旧約聖書の引用句があるが、此処では髪は鬘である。
目の前に現れた人工毛髪に頭皮を刺激させられたお禿げ達は、凶暴性を増していき、瞬く間に鬘を網の部分だけ残して不毛なものと化してしまった。
「何という毛髪欲……」
「足りなかったか……」
「そう言う問題じゃないと思います」
然し、お禿げの群れから充分な距離をとる時間は出来たので、その隙を見計らい、再び全速力で研究所の出口を目指す。
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