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★ そもそも、企業の生き残りのためには、固定経費を
如何に少なくするか、つまり、賃金労働者の給与を
如何に低く抑え、社会保障(健保、年金、失業給付金など)の
会社負担を低くするか、にかかっていると
最近の経営者は考えるようになってきた。
その露骨な「労働者=奴隷」論が、アメリカ資本主義が
「金融資本主義」に変質し始めた1980年代後半から
「新自由主義」なる「自己責任論」が日本にも
導入される。
その先頭に立ち、アメリカ経済に通じた有能で、能弁な
前述の 松中平蔵なる 慶王大学教授なのである。
それは、会社とは「株主」の利益を優先させることが
最大の存在理由であり、経営者は、株主の委託を受けて、
経営し、労働者を効率よく使用し、株主に対する
「最大利潤」の還元の機関に過ぎない、と主張した。
「国富論」を著し、近代資本主義の理論的解説者
英国の偉大なアダム・スミスがドンデン返るような
無茶で「非人間的」な資本主義の到来を是認した
主張で、1990年代から、マスコミの寵児となる。
アダム・スミスの「国富論」は、題名の日本語訳の
省略から文字通りに、「国が富むための論」と
誤解されてきた。
しかし、オリジナルは、「国民の富を豊かにするための論」
であり、事実、アダム・スミスは、経済学者である前に、
「道徳感情論」なる 大哲学書をものにしているのである。
そこで、アダム・スミスは、「金銭亡者を否定」、
「人類愛」を全編にちりばめて、「良心」とか「公平」
などの概念を産業革命後の英国の「賃金労働者」の過酷な
生活を救済しようとして、貿易偏重の「重商主義」を
批判し、「国富論」を著した。
少なくとも我らが主人公「矯味 深伸」氏は、そう信じて
疑わない。
(続)
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