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----- 2015/12/12 --------------------
土で汚れた赤い絨毯の上を騎士が歩いて行く。
大きな鳥のシンボルが刻まれたマント。
傷や錆にまみれた鎧に全身を包み、廃城を歩く。
静寂の中に、僅かな風の音、石の軋む音、鉄の靴音。
騎士はゆっくりと静かに玉座の前まで進んだ。
城と同じく朽ちかけ、砂に汚れた玉座に、騎士が触れる。
一時の静止。
騎士は今ここに在るものを確かめるように、玉座に腰を下ろした。
そして黙したまま、両手を頭にやり、兜を取った。
兜の下には、何も無かった。
----- 2015/12/13 --------------------
汽車に乗り込むとほどなく駅を離れた。
平日の夜に山中に向かう人はいないらしく、他の客の姿は見えなかった。
席に座り辺りを見回していると。
奥の座席の裏で影が動いたのが見えた。
光の加減だろうか。
念のため確認しようと近寄ってみると、床に染みがあった。
イルカの形のようだ。
だがそれは染みであって、動いているようには見えない。
動いていたようだったが車両の揺れで見間違ったのだろうか。
席に戻ったがやはり気になり、奥の席を見つめる。
やはり動いた。
もう一度近づいて確認、イルカの染みにしか見えない。
何の染みだろうか。
手で触れてみた。
ぬっと赤黒い粘液が手に付着した。
----- 2015/12/14 --------------------
ある旅人が南の島々を旅していた時のことだ。
その島では、大人が頭に子どもを乗せていたという。
会う人会う人、皆一様に子どもを乗せている。
旅人は不思議に思った。
子どもを乗せていない大人、自分で歩く子どもが見当たらない、と。
そして島の人間に聞いたんだ「子どもをいつまで乗せて過ごすのですか?」と。
死ぬまでですよ、と。
曰く、大人は死を迎えるとしぼんで代わりに頭の子どもが大きくなって大人になるんだという。
そして成長した大人の頭に子どもが膨らんでくるんだと。
旅人はその不思議な現象に驚くとと共に、あることが気になった。
大人から子どもを引き剥がしたらどうなるのか、と。
彼は実行に移した。
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