第1章

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堰を切った涙はとどまることを知らず、頬を濡らしていく。 もう高村くんに会えない 話すことも抱き締めてもらうこともない あの幸せな時間はもう二度と戻ってこない 耐えていたものが吹き出して、嗚咽まで漏らしながら家への道をトボトボと歩いた。 家に着き、母に泣き顔を見られたくなくて、音を立てないように自室に行き布団を被ると別れ際の彼が蘇りまた泣けてきた。 泣くのは今日だけ。明日からはちゃんと現実と向き合う。 七海ともちゃんと話して謝る。受け入れてもらえるかは分からないけれど、中学みたいに気持ちを飲み込んでヘラヘラしてるなんてしない。 だから… 今日だけは彼のくれた思い出に浸りながら泣いていいよね 涙が枯れた時、彼との本当のお別れ… 1ファンとして彼を応援していく。 今日は彼の孤独や優しさ温もりの記憶の中に蚕のようにこもっていたい。 高村くん…好きだよ 心の声が布団の中でこぼれた。
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