第1章

16/32

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
午前中から泣き寝入りしていて、気がつけば日がくれて部屋のなかは真っ暗。 喉が乾いて階下に降りると、母が夕飯を作っていた。そういえばお昼を食べてないから弁当が鞄の中にある。 「あら夕貴、帰ってたの?」 玄関に靴があるのに娘がいることに気付かないなんて呆れた母だ。 「うん、学校で熱が出て早く帰ってたの。」 「え、ずっといたの?風邪が治りきってなかったのね。それにしても、どうしたのその目?腫れてるわよ。」 「俯せ寝してたからじゃない?」 「そう?腎臓でも悪いのかしら?」 「大丈夫だから…今日は夕飯いらない。弁当食べてないから、夕飯にする。」 「あらそう? 熱は?」 「寝てたら下がったみたい。」 「今日はお風呂はやめて、下着だけ替えて寝なさい。」 「うん。」 冷蔵庫から水を取りだしコップについで一気に飲み干した。 冷たくて美味しい。 呑気な母のお陰で色々詮索されないで済んで助かった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加