第1章

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次の日 風邪もすっかり良くなり、何時ものように学校に向かった。 昨日いっぱい泣いて、高村くんのことで苦しくなることも無かった。 彼は彼の世界で頑張るんだから、私は自分の世界を居心地よく過ごせるように頑張る。 昨日の学校での冷たい視線を思い出し、立ち向かっていく覚悟を新たにしながら歩を進めた。 学校に着くと回りの視線が気になったけど、悪いことをした訳じゃない。高村くんを好きになったことは後悔してないし、後ろめたいこともない。強くなるって高村くんと約束したから、堂々と廊下の真ん中を胸を張って歩いた。 昼休みに七海が私の席まで来てくれて、二人で窓辺に立ち、他の人に聞こえないように今までの経緯を話した。 「もっと早く話して欲しかったな。二人のこと応援したのに…。」 「ゴメン。七海に嫌われるんじゃないかって怖かった。」 「バカ!私たち友達じゃない。」 七海におでこを人差し指でツンとつつかれた。 「うん。」 七海の気持ちが嬉しくて目頭が熱くなってくる。 「ところで、高村くんとはどこまでいったの?エッチは?」 「し、してないよ。」 七海の直接的な言葉に動揺してつい声が大きくなった。 「シーっ、声が大きいよ夕貴!」 「あ、あ、ゴメン。」 真っ赤になりながら謝ると七海が笑った。
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