第1章

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「浅井さんも一緒に保健室に来なさい。」 「…はい。」 上野さんを気遣うように歩く田村先生の後に続いた。 「私は上野さんを病院に連れていくけど、直ぐに他の先生が来るから浅井さんはここで待っていてね。」 「はい、わかりました。」 「上野さん、さ、行きましょう。歩ける?」 「頭は痛いけど、歩けるよ。」 田村先生は応急処置をした上野さんを抱き抱えるように、保健室から出ていった。 入れ替わるように担任の佐々木先生が保健室に入ってきた。 50代くらいの優しいと人気の先生だ。 目立たない私は今まであまり話すことはなかった。 「どうした? おとなしい淺井が何で上野を突き飛ばした? 普段付き合いはないだろ?」 「は、はい。上野さんに学校を辞めろと胸ぐらを掴まれて…押してしまいました。」 「上野は何で辞めろって?」 「言いたくありません。」 高村くんに遊ばれて妊娠して堕胎したなんて言いたくない。全く根も葉も無いことなのに…
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