第1章

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私が高村くんとの付き合いを校内送で話して噂を打ち消す流れになり、数日考えて答えを出すことと、上野さんの状態が悪いときはまた先生から話しをするということになった。 何でこうなっちゃうんだろう。 始めは今ギャルたちに身の潔白を証明して謝って欲しかっただけなのに… 確かに噂は出回ってるから、彼女たちが納得しても他の人たちは噂を信じて第二第三の彼女たちみたいな人が現れない保障はない。 手っとり早く放送で話した方がいいのか? だけど、話だけで噂を消せるのだろうか? 上野さんの具合はどうなんだろう。 脳出血を起こしていたら、私の責任だ。 何かあったら本当に学校を辞めなくてはならないかも… 潔白証明なんて言ってる場合じゃない。 いろんな葛藤で午後の授業は殆ど上の空だった。 そんな不安な気持ちで教室の移動やトイレに行くと、回りの視線はますます冷たくなってるように感じる。 上野さんに怪我をさせたことが尾ひれをつけて、私を更に悪者にしているんだ。 もうどうしたらいいのか分からなくて暗い沼に沈んでいくような気分でいると 七海が噂を聞いて、心配して来てくれた。 「聞いたよ、夕貴。大変だったんだって?」 「七海、私…」 「そんな泣きそうな顔して、放課後聞くから一人で抱え込んじゃダメだよ。」 「…うん。」 チャイムが鳴り始め、七海は席に戻っていった。 周囲の視線が冷たくても、七海だけは変わらず私の味方でいてくれる。 学校で唯一私の心を温かくしてくれる存在だ。 彼女の言葉で気持ちが浮上できた。 分かってくれる人が一人でもいるって本当に心強い。 回りがどんなに冷たくてもきっと私は大丈夫、強くいられる。 中学の時とは違う。 七海に聞いてもらってどうするか決めることにした。
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